「小さい大丈夫」と「本当の大丈夫」(その2)

「小さい大丈夫」を見つけましょうと(その1)でお話ししました。

この「小さい大丈夫」を見つけるのには、
ちょっとしたコツがあります。

それは何かというと
「大丈夫」に「根拠」をつけることです。

 

例えば
外出したときマスクをしていたから→大丈夫
帰ってきたら手を洗ったから→大丈夫
今日も美味しくご飯を食べれたから→大丈夫
テレビを見てゲラゲラ笑えたから→大丈夫

などなど、なんで大丈夫なのかという「根拠」をつけるのです。

 

大丈夫の「理由」と言ってもいいかもしれません。

 

今この状況の中で
不安を感じている人も多いと思うのですが
反対に
不安を感じていてはいけない!
不安なんてありません!大丈夫です!
と、頑張っている人もけっこう多いと思うのです。

 

そんなひとは
「大丈夫!大丈夫!」と自分に言い聞かせて
もっと頑張ろうとしてしまいます。

 

それで本当に大丈夫なら構わないのですが、
実は本当は大丈夫じゃないから
自分に一生懸命言い聞かせているだけだったりします。

どの人も
自分の気持ちには嘘つけないんですよね。
ごまかしが効かない。

 

だから
本当は大丈夫じゃないのに
本当は不安なのに
本当は怖いのに
「大丈夫!大丈夫!」ってやると
結果どこかで
バーーーーーーンって爆発しちゃうんです。

本当の気持ちを押さえ込んでいるから
その押さえ込んだ気持ちが
心の容量いっぱいになって
抑え込めなくなってくると
バーーーーーーーーーンって溢れちゃう。

 

溢れる時って
ちょっとずつ溢れなくて
一気に溢れることが多いんです。

そこで
いちばんびっくりするのが
その人本人です。

びっくりして
すごいことやらかしちまった!と後悔し
なんて自分はダメなんだ!と自分を責め

また再び
押さえ込んでいく!
もっともっと頑張れば抑え込めるはず!
ないことにできるはず!
大丈夫!大丈夫!

私のところに相談に来られる人たちは
もうそんなこと何度も何度も繰り返してきて
とても苦しい!
だから変わりたいんです!
そうお話しされます。

そんな苦しいパターンは
もうやめましょう。
そのためにも
まずは心の力を育てましょう、とお伝えします。

 

そこでやるのが
「小さい大丈夫」を見つけることです。

みなさん
「本当の大丈夫」が欲しいんですよね。

これで大丈夫!
これで絶対大丈夫!ってやつです。

 

「本当の大丈夫」を見つけるには
まずは心の力を育てる必要があります。

なぜなら
「本当の大丈夫」を見つけるためには
「本当の気持ち」に向かい合う必要があるからです。

「本当の気持ち」に向かい合うためには
心の力を育てていくのがポイントです。

 

その心の力を育てるために
まず「小さい大丈夫」を見つけるのです。

 

その「小さい大丈夫」を見つけるコツが
「大丈夫」に「根拠」「理由」をつけることです。

ただ「大丈夫!大丈夫!」っていうのは
あやふやなんですよね。

「大丈夫」って
とてもふわっとしたものなので
実感がともなわないのです。

心の力って
実感がともなっていないと「力」にならない。
実感をともなう「大丈夫」にするためにも
「大丈夫」に「根拠」「理由」とつけましょうと提案します。

 

でも、その「根拠」や「理由」は
絶対的なものを見つけようとすると
なかなか難しい。

 

例えば今
こうすれば絶対ウイルスに感染しません!なんて「根拠」「理由」は
誰にも見つかりません。

 

だから
できること
やれること
できていること
やれたこと
それを「根拠」「理由」にするのです。

だから
この「大丈夫」は「小さい」んです。

 

小さいかもしれないけど
そんな小さいことを積み重ねることで
大きな結果になっていくってことばかりじゃないかな。

小さいかもしれないけど
着実で
確実です。

 

そんな実感が
心の力になっていきます。

 

そして
心の力が育ったら
「本当の気持ち」に向かい合い
そのさきにある「本当の大丈夫」を見つけることができます。

 

「本当の大丈夫」を見つけるためにも
まず「小さい大丈夫」を見つけましょ。

 

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「小さい大丈夫」と「本当の大丈夫」(その1)

今、この状況の中で不安を感じている人は多いと思います。

わからないことだらけですからね。

 

ウイルスは目に見えないので
どこにいるかわからない。

もしかしたら
すでに自分が感染しているかもわからない。

もしからしたら
家族や大事な人が感染しているかもわからない。

実際に感染したらどうなるのかわからない。

仕事に行けない
学校も休みな状態がいつまで続くかわからない

収入が減って
これからやっていけるかどうかわからない。

この先の社会がどうなるかわからない。

もうわからないことだらけで
不安が不安を呼び
わけわからなくなっていても
おかしくありません。

 

私たちは
命を持って生きていくために
自分を守ろうする自己防衛本能があります。

自分の大事な命や健康
また安定した生活や毎日
大事な人たちとの人間関係
その人たちの命や健康
それらが守れないかもしれないというのは
嫌ですよね。

だからこそ
今のこんな「わからないことだらけ」の状態は
嫌なんです。

 

これは
癌患者さんの気持ちとよく似ています。
これまで私は
たくさんの癌患者さんの心のケアをしてきました。

癌患者さんにとって
癌の治療に関して
もちろんわかっていることもあるけど
わからないこともたくさんあったりします。

治療だけじゃなく
これからの人生がどうなっていくのか
わからないことはたくさんあります。

だから
不安になります。

もしかしたら
どんどん悪くなるかもしれない。
もしかしたら
どんどん痛くなるかもしれない。
もしかしたら
最悪死ぬかもしれない。
とても不安で
どうにかすると「不安で死にそうです」と言う方もいます。

そして
どんどん混乱していってしまいます。

 

私たちは
わからないことに対しては
どうしていいのかわからない
何もできないという「無力感」を感じます。

「無力感」って嫌ですよね。

「無力感」を感じると
何もできないのに対しても何もできないんじゃないか!と
無力感に対しての「無力感」を感じていくことも多いです。
どんどん無力感が増していってしまいます。

 

そこでなんとか
ちょっとは自分を救いたいと
目先の安易なものに飛びついてしまうこともあります。

癌が消えるという水を買ったり
布団を買ったり
(どれもみんな高価なんですよね)
御祈祷に行ったりされます。
それらがいけないとは思いません。

それでもやっぱり
無力感は消えなかったり
不安はまだまだ出てきたりするのです。

なぜかというと
みなさん、「絶対的な」解決策や答えが欲しいのです。
これで大丈夫!
絶対大丈夫!
ってやつです。

不安だから
それをいっきに消してくれるような
絶対的なものが欲しいのです。

 

でも
目先の安易なものは「絶対的」でないのです。
だからまた不安になる。
これはダメだから
もっと他のものを探さなきゃ!見つけなきゃ!ってなっちゃう。
他のものも「絶対的」じゃないから
また不安になる。。。
苦しい。。。

 

今の新型コロナウイルスに対しても
同じです。

まだまだわからないことだらけの状況なので
これ!という「絶対的」なものはありません。
だからみんな不安だし
どうにかすると「無力感」を感じていたりします。

 

そこで
私からの提案なんですが

(これは今まで寄り添ってきた癌患者さんたちにも提案してきたことです)

「小さい大丈夫」を見つけませんか。

 

絶対ウイルスに感染しない!というのを目指すのではなく、

例えば
外出した時ちゃんとマスクをしたから大丈夫
帰ったら手を洗ったから大丈夫
体の免疫力を上げるための食事ができたから大丈夫
昨日よく眠れたから大丈夫
心を健康に保つためにできることをしたから大丈夫
きれいなお花を見てほっとできたから大丈夫、など

毎日の中の小さい大丈夫を見つけていくのです。

 

それは小さい小さい大丈夫かもしれません。

それでも
何もできないと無力感にさいなまれるのに
少しずつだけどブレーキをかけられますよ。

何もできないわけじゃない
小さいことだけどやれることはあると思えてきたらいいですね。

 

そうやって
「小さい大丈夫」を見つけていくと
少しずつでも心の力を取り戻していけます。

 

心の力を取り戻したら
「本当の大丈夫」を見つけにいけます。

 

「本当の大丈夫」を見つけるためにも
「小さい大丈夫」を見つけ
心の力を育てませんか。

(つづく)

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不安や恐れとの付き合い方(その3)

この間
患者さんから
この不安定な社会の中で
子供が不安を感じている
それに大人の自分はどう寄り添ってあげたらいいのでしょうか
と質問されました。

同じように悩んでいる方は
多いのではないでしょうか。

私の意見としては
子供の不安に寄り添う前に
まずは大人の自分の中で感じている不安に寄り添ってあげた方がいいと思います。

 

不安や恐れは
あまりよくない感情として捉えている人も多く
ない方がいいもの、
どうにかすると
あってはいけないものとして捉えがちです。

でも
不安や恐れは
ひとの感情として
とても大事なものです。

不安や恐れは
自分自身を安全で安心な状態に保ちたいという
いわば自己防衛本能の反応なので
とても大事なものなのです。

今、新型ウイルスに対しては
自分が感染しているかどうかわからない
誰が感染しているかどうかわからない
この先ワクチンがいつ開発されるかわからない
この先生活がどう変わるかわからない
このわからないことだらけの状況で
不安や恐れを感じるのは
とても自然なことなのです。

 

しかし
不安や恐れがよくないもの
あってはいけないものと捉えていると
不安なのに
「大丈夫」と思おうとしてしまいがちです。

でもそれは
本当の大丈夫ではないので
また
不安や恐れは出てきます。

 

今とてもいいチャンスなので
不安や恐れの存在を認めてみませんか。
不安や恐れを認めても
全然大丈夫ですよ。

 

だって
実際にあるものなので
認めても大丈夫!
全然大丈夫ですよ。

 

大人の自分が
そうやって自分の不安や恐れを抱きとめてあげると
子供の不安や恐れも抱きとめてあげられます。

 

子供は
大人に抱きとめられることで安心します。

不安でも大丈夫。

怖くても大丈夫になります。

大人のあなたも
子供の頃にそうやって
大人の誰かに抱きとめてもらいたかったんじゃないかな。

 

不安でも
大丈夫。

 

怖くても
大丈夫。

そのままのあなたで
大丈夫。

 

そうやって自分のことを
抱きとめてみませんか。

今それを実現できるチャンスですよ。

抱きとめてみませんか。

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