「小さい大丈夫」と「本当の大丈夫」(その1)
今、この状況の中で不安を感じている人は多いと思います。
わからないことだらけですからね。
ウイルスは目に見えないので
どこにいるかわからない。
もしかしたら
すでに自分が感染しているかもわからない。
もしからしたら
家族や大事な人が感染しているかもわからない。
実際に感染したらどうなるのかわからない。
仕事に行けない
学校も休みな状態がいつまで続くかわからない
収入が減って
これからやっていけるかどうかわからない。
この先の社会がどうなるかわからない。
もうわからないことだらけで
不安が不安を呼び
わけわからなくなっていても
おかしくありません。
私たちは
命を持って生きていくために
自分を守ろうする自己防衛本能があります。
自分の大事な命や健康
また安定した生活や毎日
大事な人たちとの人間関係
その人たちの命や健康
それらが守れないかもしれないというのは
嫌ですよね。
だからこそ
今のこんな「わからないことだらけ」の状態は
嫌なんです。
これは
癌患者さんの気持ちとよく似ています。
これまで私は
たくさんの癌患者さんの心のケアをしてきました。
癌患者さんにとって
癌の治療に関して
もちろんわかっていることもあるけど
わからないこともたくさんあったりします。
治療だけじゃなく
これからの人生がどうなっていくのか
わからないことはたくさんあります。
だから
不安になります。
もしかしたら
どんどん悪くなるかもしれない。
もしかしたら
どんどん痛くなるかもしれない。
もしかしたら
最悪死ぬかもしれない。
とても不安で
どうにかすると「不安で死にそうです」と言う方もいます。
そして
どんどん混乱していってしまいます。
私たちは
わからないことに対しては
どうしていいのかわからない
何もできないという「無力感」を感じます。
「無力感」って嫌ですよね。
「無力感」を感じると
何もできないのに対しても何もできないんじゃないか!と
無力感に対しての「無力感」を感じていくことも多いです。
どんどん無力感が増していってしまいます。
そこでなんとか
ちょっとは自分を救いたいと
目先の安易なものに飛びついてしまうこともあります。
癌が消えるという水を買ったり
布団を買ったり
(どれもみんな高価なんですよね)
御祈祷に行ったりされます。
それらがいけないとは思いません。
それでもやっぱり
無力感は消えなかったり
不安はまだまだ出てきたりするのです。
なぜかというと
みなさん、「絶対的な」解決策や答えが欲しいのです。
これで大丈夫!
絶対大丈夫!
ってやつです。
不安だから
それをいっきに消してくれるような
絶対的なものが欲しいのです。
でも
目先の安易なものは「絶対的」でないのです。
だからまた不安になる。
これはダメだから
もっと他のものを探さなきゃ!見つけなきゃ!ってなっちゃう。
他のものも「絶対的」じゃないから
また不安になる。。。
苦しい。。。
今の新型コロナウイルスに対しても
同じです。
まだまだわからないことだらけの状況なので
これ!という「絶対的」なものはありません。
だからみんな不安だし
どうにかすると「無力感」を感じていたりします。
そこで
私からの提案なんですが
(これは今まで寄り添ってきた癌患者さんたちにも提案してきたことです)
「小さい大丈夫」を見つけませんか。
絶対ウイルスに感染しない!というのを目指すのではなく、
例えば
外出した時ちゃんとマスクをしたから大丈夫
帰ったら手を洗ったから大丈夫
体の免疫力を上げるための食事ができたから大丈夫
昨日よく眠れたから大丈夫
心を健康に保つためにできることをしたから大丈夫
きれいなお花を見てほっとできたから大丈夫、など
毎日の中の小さい大丈夫を見つけていくのです。
それは小さい小さい大丈夫かもしれません。
それでも
何もできないと無力感にさいなまれるのに
少しずつだけどブレーキをかけられますよ。
何もできないわけじゃない
小さいことだけどやれることはあると思えてきたらいいですね。