不安や恐れとの付き合い方(その1)

このところ毎日新型コロナウイルス関連の報道などで
不安や恐れを感じている人は多いと思います。

今日は
いつも私が患者さんたちに
どう不安や恐れと付き合ったらいいかについて
どうサポートしているか
お伝えしますね。

もしこれを読んでいる方の参考になれば嬉しいです。

 

まずみなさん、こんな感じで訴えてきます。
「苦しいんです。
こんなことが不安だし、あんなことが怖いし、
もうどうしたらいいのかわかりません!」って。

私のところに来られる患者さんのほとんどが
最初こんな状態です。
いわゆる混乱状態です。

訴えは、
まず全部聞きます。

吐き出すだけでも
ちょっと落ち着きますからね。

言葉を吐き出すことは、
感情を言語化して把握できていくことにつながります。

感情というモヤモヤ得体の知れないものは、
どうにかすると
どんどんモヤモヤしていって
本当に何を感じているのかわからなくなります。

でも
誰かに伝えようとすると
言葉にしなければいけません。

この言葉にしようとすることで
心の中にぐちゃぐちゃしていたものが
少しずつ秩序を見出していき
それによって
少しずつ落ち着いていきます。

 

また
グオオーーーっと泣かれる方も多いです。

それも気持ちを吐き出すことなので
泣き止むまで
待ちます。
そうすると
みなさん落ち着きます。

 

みなさん
落ち着きたいし
落ち着ける力をちゃんと持っているのです。

私はそれを信頼しているので
ただ待ちます。

みなさんがある程度吐き出してから落ち着くのは、
たぶん私が邪魔しないからだと思います。

その人が自分で落ち着いていける力を持っているし
その力を自分で発揮できるはずなので
私がやることは
ただそれを信頼し
そばにいる。

私がその人を落ち着かせるわけじゃない。
自分で落ち着くのです。
自分で落ち着けるからね。
私がやることじゃない。

 

そうやって
誰かがいてくれると
ひとりじゃないって思えます。
孤独感が和らぎます。

 

不安や恐れを感じている時は
同時に孤独感も感じている場合が多いです。

孤独感は
不安や恐れに拍車をかけます。
どんどん苦しくなっていく。

でも
ひとりじゃないって感じられると
また落ち着けますよね。

 

そうやって落ち着いてきたら
やっと私からお話しします。
「そのままでは苦しいと思います。
なんとか変えたい、変わりたいと思って、ここに来たと思います。
大丈夫ですよ。たくさんの人が変わってきたのを見てきましたからね。
でもちょっと時間がかかります。
すぐには変われません。
でも確実に変わるために、着実にやっていきましょうね」

たいていみなさん
「はい」と納得してくれます。

そして
「これまでどうしていいのかわからなかったけど、
やっと落ち着けました」
と、お話ししてくれます。

 

これは私が日常的にカウンセリングの場でやっていることですが、
自分が自分の感情に関わるのも
全く同じだと思っています。

 

特に不安や恐れといった感情には
たくさんの人が否定的です。
拒否感や拒絶感を持っている人も多いです。

でも
不安や恐れといった感情を
否定し、拒否し、拒絶することは、
私が患者さんを
否定し、拒否し、拒絶することと同じです。

不安や恐れといった感情は
まずたいてい混乱しています。
ぐっちゃぐちゃです。

このぐっちゃぐちゃが嫌だから
否定したり拒絶している人も多いんじゃないかなあ。

 

私たちみんな
落ち着いていたいんですよね。

不安や恐れを拒否して
一人ぼっちにすると
さらに拍車がかかり
どんどんぐっちゃぐちゃになります。

 

不安や恐れは
インナーチャイルドという心の中の子供の部分が叫んでいることが多いので
その子供の存在を否定し、拒絶すると
もっともっと叫びます。

子供はパワフルですからね。
そして
諦めません。

どんどん叫ぶ。
どんどん混乱する。

だから
拒否せず
向かい合ってあげることが大事です。

 


この状況の中
不安や恐れが出てくる方が
心にとっては健全です。

訳わからないものに対して
不安や恐れが出てくるのは
当たり前なこと。

この機会に
そろそろ不安や恐れといった感情と
どう付き合っていったらいいのか
練習していってみてはどうかなと思います。

 

生きている限り
どんなことになっても
不安や恐れは出てきます。

 

だって人間にとっての
当たり前で
大事な感情ですからね。

 

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「揺らがない」ということ

今週の朝ドラのテーマが
「揺らがない強さ」です。

今朝のドラマの中で
「医者は揺らがない強さを持って
患者さんに接している」
というようなセリフがありました。

患者さんは揺らぐ。

今日は「大丈夫」と思えても
次の日には「もうダメだ」という気持ちになる。
その患者さんに
「揺らがない強さ」を持ち寄り添っていく。
私もそうやって
いつも患者さんに寄り添っていっています。

 

ただ
この「揺らがない」というのが
ときにひとを苦しめることになりかねません。

医者であろうと
セラピストであろうと
みんな人間です。

人間だから
揺らぐのは当たり前です。

この部分を大事にしていかないと
人間としての自分を押さえ込み
仕事をするものとしての「役割」に
自分を当てはめようとしてしまう。
それはとても大きな苦しみを生みます。

 

 

私が思う「揺らがない」というのは
揺らぐのは当たり前
人間だもの!
と、揺らぎを受け入れることだと思っています。

矛盾するように聞こえるかもしれないけど
揺らぎを受け入れたとたん
揺らぎは自分のものになるので
揺らぎに振り回されなくなります。

やったことないけど
サーフィンのように波に乗る感じだと思います。
揺らぐことを受け入れることで
「強さ」になるのです。

 

私はひとの心に寄り添うものとして
自分の心の揺らぎを
いつも気にしています。

 

この間友人と
「不動」について話しました。
「不動の心」について。

私が思う「不動」は
「揺らがない」と同じように
動きを止めることではなく
動きを知って
それを受け入れる、
動くのは当たり前
だって生きているから。

自然も
世界も
宇宙も
ずっと動き続けている。

その中で
動かないというのは不自然だし
生きている限り変わり続けるのが
命だよね、
と話しました。

 

そう
私たちは生きている。

だから変わり続けるし
動き続ける。
それを止めようとするなんて
無理なこと。

 

それよりも
そんな変化や動き
揺らぎを受け入れ
乗っていくこと。
その方がうんと自然だと思うのです。

 

揺らぐ患者さんたちの心に寄り添いながら
私も一人の人間として
自分の心の揺らぎに寄り添っています。

だからこそ
この仕事を続けてこれたと思っています。

そして
患者さんたちは
いっとき思いっきり揺らぐと
みなさん見事に
その揺らぎを強さに変えていきます。

もちろん
それでも揺らいでいるのですよ。
でももう揺らぎ方が違う。

 

それまでのように
揺らぎに振り回されるのではなく
揺らぎの中心に自分がいるのです。
だから揺らいでいるけど
揺らないでいないし
とても強い。

そんなひとの可能性を
たくさん見てきました。

 

だから
私も揺らぐなら
思いっきり揺らごうと思っています。

それが私の
「揺らがない強さ」です。

 

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自分を大事にすること

このセラピーを受けたひとたちから

「自分を大事にするというのが
今までよくわからなかったけど
やっとわかるようになった」

と、よく聞きます。

「自分を大事にする」のは
それこそ大事なことだとわかっていたけど

実際にはどういうことなのか

具体的にどうしたらいいのか

これまでよくわからなかったけど

前世療法を受けて
前世を知ることで
自分なりの理解や納得が得られたり

インナーチャイルドワークを受けて
自分の内なる子供を
大人である今の自分が満たすことができるのがわかって

やっと
「自分を大事にする」のが
どういうことなのか

自分の内側から
溢れてくるようなものなのだと
やっとわかったと
今まで
たくさんの人から聞いてきました。

「自分を大事にする」ということは
自分自身との信頼関係を育てていくことです。

つい私たちは
誰か(特に偉いひととか)の言っていることを
そのまま取り入れてしまったり

誰かに認めてもらうことで
自分を認めてあげたり

誰かに許可をもらったりすることで
やっと自分に許可できたりします。

それは
前世や子供時代の体験の影響だったりするのです。

それは過去のことなので
今ここで起こっていることではないので
変えることができます。

「自分を大事にする」ことは
つねに自分の内側に耳を傾けて
自分自身との信頼関係を
少しずつ深めていくことです。

前世療法やインナーチャイルドワークは
誰かに何かをしてもらうセラピーではありません。

セラピストである私が
クライアントに何かをして
前世を見せてあげたり
インナーチャイルドに出会わせてあげたりするものではありません。

前世も
インナーチャイルドも
そのひとの一部です。

それにただ気がつくこと。

自分で気づくこと
それがセラピーです。

ひとのどの部分も
とても大事です。

それに気がつくことだけでも
自分を大事にしたくなります。

自分に気づき
大事にし
自分自身との信頼関係を深めていくと
人生は
自分のものになり
自由にのびのびと生きていけます。

それが
この前世療法とインナーチャイルドワークの目的です。

自由にのびのびとなっていく
クライアントさんたちの変化は
セラピストとしての大きな喜びです。

本当に大きな喜びを感じられる仕事だと思っています。

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